3 次元弾性波・AE トモグラフィによる輪荷重試験下の浸水したRC 床版の劣化損傷進展評価

摘要

近年，我が国では公共事業費や人口減少による土木技術者の減少のため，経年劣化が進んでいるコンクリート構造物の維持管理体制構築を限られた予算の下で実行することが望まれている。これには，コンクリート構造物の内部損傷程度を非破壊で精確に診断・評価して，構造物に大規模な変状が生じる前に補修・補強などの対策を行うことで，長寿命化を可能とする予防保全が重要である。これを比較的低コストかつ安全に実施できる手法の一つに弾性波トモグラフィやAEトモグラフィが挙げられる。これら手法の実RC床板適用のために，速度変化と実際の劣化損傷条件の関係が明らかにされている1)。しかし，RC 床板内に水が浸入した場合においては上記の関係は成立しない可能性が高い。また，RC 床板へ水が浸入すると土砂化を引き起こすが，これは外観から確認することができない。そこで本研究では，上面を浸水させたRC 床板供試体に対して輪荷重走行試験を実施し，鉄球打撃により励起した弾性波を使用した弾性波トモグラフィと，これに静的載荷で生じたAE を組み合わせた弾性波・AE トモグラフィを実施した。これより，水の影響を伴うRC 床板の劣化損傷進展と速度変化の関係，および土砂化検知を試みた。