都府県別の潜在的な海上輸送分担率の推定

摘要

本研究では，各都府県において現在の海上輸送分担率からどの程度まで，海上輸送分担率を伸ばすことが可能かといった，潜在的な海上輸送分担率について包絡分析法（DEA）を用いて推定を行った．D 効率値については，各都府県の相対的な位置づけを示しており，潜在的な海上輸送分担率は，それに基づいて示された値である．提案した手法を用いることにより，各都府県のモーダルシフトを検討する上での一つの目安になると考えられる．一方で，DEA では統計的なノイズを排除することが不可能であり，データの異常値の影響を受けやすい．そのため人口やビジネスが東京に集中している日本では，潜在的な海上輸送分担率が過大評価となっている可能性もある．今後はこれらの影響に配慮しつつ，入出力項目の見直しも必要であると考える．