鉄筋工事におけるICTの活用に関する考察2

摘要

鉄筋工事の施工ミスを無くすために様々な取り組みがゼネコン中心に行われているが、施工ミスの要因が情報伝達にあるにもかかわらず配筋検査に主眼を置いたツール開発に傾注している現状である。前報では、施工図の作成から材料の加工、現場配筋、検査までの鉄筋工事全体を対象として、鉄筋工事関連会社へのヒアリング調査や鉄筋工事の施工状況の調査を実施した。それらの調査結果から鉄筋工事のプロセスや作業における情報の伝達方法を図1のごとく整理し、鉄筋工事における課題やICT活用の状況をまとめた。筆者らが明らかにした鉄筋工事におけるICTの活用状況や材料と情報の流れにおいては、情報の伝達媒体に絵符が使用され、その絵符は、鉄筋工の職長が作成した加工図から作られる加工帳に基づいて作成されることが分かつた。鉄筋工の職長が作成した加工図は写真1に示すごとく、躯体図に鉄筋加工の情報が追記される様式が多い。この段階で躯体図から加工図への情報の転記に間違いがあれば、その後の鉄筋加工·配筋のプ口セスを厳密に管理したとしても品質上の問題を防止できないことは前報で指摘した通りである。しかし、その鉄筋加工図がどのような情報に基づいて作成されているのかの実態は明らかでない。鉄筋加工図作成は鉄筋の加工形状を決定する作業であり、この作業におけるミスを無くすことは、鉄筋工事の品質管理において最も重要な課題である。また、この加工図作成にICTを活用するためには、加工図作成のロジック、つまりは職長がどのような思考手順で鉄筋の加工形状や寸法を検討しているのかといった配筋ロジックを明らかにする必要がある。現在、配筋検討の思考手順を記述した学術的な先行事例はないことからも本報では、職長へのヒアリングを中心に鉄筋加工図作成に必要な情報を整理し、鉄筋の寸法や形状といった配筋ロジックをどのように検討しているのかを明らかにする。%The study focused on the reinforcement work from drawing preparation, material processing, field assembly and inspection. We have conducted interview surveys on reinforcement worker and survey on the construction situation of reinforcement work and from the results of these investigations it turned out that rebar drawing is important in the process of reinforcement work. Therefore, in order to reduce mistakes at the time of rebar drawing, we will study how to use ICT and aim for productivity improvement.