透明性絶縁体放電加工の極間隙の3軸(XYZ)同時観察の試み

摘要

絶縁性材料の放電加工は福沢らが開発した補助電極法によって実現した.これは，加工油の成分である炭素を主成分とした導電性の力ーボン被膜(以降，カーボン被膜と称する)を絶縁性材料の放電加工面に形成させながら加工を行う方法である.放電加工中に形成されるカーボン被膜の状態が放電加工特性に大きな影響を及ぼす.佐籐らは絶縁性材料の放電加工特有の長パルス放電が，カーボン被膜の形成に重要な役割を果たし，長パルス放電の後に生じる放電遅れ時間が極めて短い正常放電の集中で放電加工が進むこと，また，1回の長パルスで生成される熱分解カーボンの量が多すぎると，放電の局所集中により加工精度が悪化することを報告している.ところが，佐藤らの観察は1方向からの観察であり，放電が局所的に集中しているように見えても奥行方向には分散している可能性があった.また，放電加工は加工時間が数時間に及ぶため，数秒間という極めて部分的な現象の観察だけでは加工現象全体を理解したとは言えない.そこで，フレームレートの低いカメラをXYZの3軸にセツトして，注目した放電箇所の放電加工現象の観察を3軸方向から，放電加工の加工開始から終了まで連続的に行うことで佐藤らの結果の確認を行った.