日本計算数理工学会論文賞受賞挨拶

摘要

2018年度計算数理工学会論文賞に選出下さつて誠に有難うございます.ご多忙中にもかかわらず，論文賞の評価をご担当下さった先生方，ご推薦下さった先生方，学会関係者の皆様に謹hでお礼申し上げます.西村先生からの論文賞決定のメールを受け取った時，他の先生の論文の受賞とばかり思いつつ，メールを開きましたので，本当に，驚きしかありませhでした.セルラ.オートマトンの粒子の存在状態を「ある」「なし」の「1」，「0」で表すのではなく，分布関数によって記述することにより，ナビエ.スト一クス方程式を正しく導出出来ることがMcNamaraらにより1988年に証明され誕生した格子ボルツマン法は，日本計算数理工学会の前身である境界要素法研究会（1984年設立）より若い手法です.2008年に本学会に入会させて頂いた新米が行つている，境界要素法とは別物の新しい計算手法に関する研究を選出下さる本学会構成員の先生方の器の大きさに感銘を受けております.今回受賞した研究は，粘性係数や温度拡散率を決定する緩和時間が大きい場合に発生する格子ボルツマン法における流速の滑りと温度の跳びに関する研究です.緩和時間が増加すると，格子ボルツマン法の運動方程式がナビエ?スト一クス方程式に正しく漸近しないため，流体解析に対し意味がない問題を扱っているとの指摘を受けながらも，なぜ，滑りが発生するのかという問題に取り付かれて，実施してきた研究でした.学生時代から，その研究力が可に使えるのか，もっと応用計算のことを考えるようにと諸先輩から叱咤されることも多く，私は分かりましたと返事をしていました.しかしながら，気がつくと，なぜか，計算手法をいじっているのが楽しくなってしまう私の性分に，多様性を尊重する本学会は大変合っておりました.それだけに，本学会で，私の研究をお認め下さったことは，本当に嬉しいことでした.本学会への入会を勧めて下さった信州大学の吉野先生に感謝しております.