長期利用における行動改善効果維持のためのアンビエントディスプレイ

摘要

情報を数値やグラフで具体的に表現せずに，仮想の生物のイラストや光などにマッピングし，抽象的に表現することで情報を直感的に理解させるアンビエントディスプレイの研究が数多く存在する．情報の表現手法の工夫によって，日常生活で他の作業を妨げることなく情報を伝達出来る上に，ユーザが情報を前向きに受け取ることに繋がるため，行動変容の研究にもよく活用されている[1] [2] [3]．しかし，アンビエントディスプレイは，他の作業を妨げずに情報を間接的に提示するという特性から，デバイスを使用し始めた頃はその真新しさでユーザによく利用してもらえるが，長期利用をする際には徐々にユーザが興味を失い，見向きもされなくなる可能性があり[4]，その結果システムの効果低減に繋がることが示唆されている[1]．しかし，その傾向を踏まえた興味喪失に至るまでの原因の分析や，対処法の提案はいまだにされていない．したがって，本稿ではシステムを長期利用するユーザが興味喪失に至るまでの行動をモデル化することで原因を見極める．そして，その結果から興味喪失に対処可能な情報提示手法を設計，実装し，システムに組み込む．その上で，在宅での活動量の増大を目的としたユーザ評価実験を通してその効果や最適な手法について議論する．