二重管式小型排気熱回収器の伝熱性能

摘要

排気熱回収器は排ガスの熱をクーラントに輸送する熱交換器であり，エンジン始動時の早期暖機，冬季の暖房性能向上を行う．現在HEVの一部に採用され実用燃費の改善が報告されているが，通常のガソリンエンジン車には普及していない．しかしガソリンエンジンの開発動向として，摩擦損失の低減，ミラーサイクルの導入，高圧縮比化などにより熱効率が高まりつつあり，今後もさらに過給ダウンサイジング，希薄燃焼，断熱化などによりさらに熱効率が高まり，暖房能力の不足が懸念され，排気熱回収器の活用が予想される．そこで今回，暖房能力の増強のみを想定し，簡易かつ小型な構造である二重管にオフセットフィンを付加した排気熱回収器（以下「プロト品」）を試験的に製作し，排熱回収能力を調査する．この際，実際に量産されている排気熱回収器（以下「量産品」）を比較対象とし，伝熱に関する特徴を明らかにする．さらに通気抵抗の近似式を作成する．