円管内の複合対流乱流境界層の数値解析

摘要

伝熱工学上における基本的かつ重要な場の一つである円管内乱流熱伝達場は，工業的にも多くの熱流体機器内で観察することができる．円管内乱流熱伝達場は，円管入口から考えると，流体の流入条件や壁面熱的境界条件等，様々な条件に影響される．特に入口付近の熱流体場の条件によっては，乱流境界層が未発達な助走区間(1) を形成する場合があり，そこでは高い熱伝達率や管摩擦係数が発生するため，実際の熱流体機器内で取り扱う場合には注意を要する．よって，乱流境界層が未発達な助走区間内における乱流熱伝達現象を詳細に調べることが機械効率の向上につながると考えられる．一方，円管内乱流熱伝達場においては，流体が管壁で取り囲まれているため，壁面加熱の影響，つまり浮力の影響を受けやすい(2)．そのため，浮力の影響を受けた円管内乱流熱伝達場についてもその現象を詳細に調べる必要があるが，様々な影響因子を考えた円管内乱流熱伝達場のより全体的な現象を把握するためには，上記の助走区間を含む浮力の影響を受けた円管内乱流熱伝達場についての調査が必要となる．