タンパク質凝集に対する凝集前構造の影響

摘要

タンパク質の凝集体は、変性した複数のタンパク質分子が不可逆的に会合することで形成される。アルツハイマー病に代表されるタンパク質病は、タンパク質がミスフォールディングを起こし、不溶性の繊維状凝集体を形成することが原因とされている。しかし、その形成機構は未知な点が多く、タンパク質の凝集過程の解明が重要である。本研究室ではこれまでにタンパク質水溶液に有機共溶媒を加えることで昇温に伴う凝集が誘起されること、その共溶媒の種類や濃度、静置時間の依存性などを明らかにしてきた。本研究では、昇温前に生じる凝集体の影響や昇温速度の依存性を熱力学的に議論した。