2011年東北地方太平洋沖地震時における超高層集合住宅のエレベータの停止状況と居住者の心理状態

摘要

超高層集合住宅のエレベータは，特に中·高層階に住む居住者の住宅生活継続計画(MansionLifeContinuityPlan, MLCP)を考えるうえで不可欠なライフラインである.エレベータが停止した場合，中·高層階の居住者は，外出や住戸へのアクセスという日常的な行動に制限が加えられるため，困難な生活を強いられることとなる.特に，地震の発生によりェレべータが長時間にわたって停止した場合，例えば建物外で調達した食料や水，支援物資等の高層階への運搬に支障をきたす他，要援護者の避難等も困難となる可能性もある.2011年東北地方太平洋沖地震（以降，3.11本震と呼称する）発生時には，東京都内の多くの建物でエレベータが停止したと考えられるものの，超高層集合住宅におけるエレベータ停止被害の実情については明らかとなっていないことも多い.