集中卷固定子を用いる高出力密度埋込永久磁石同期電動機における平角巻線の渦電流損低減に関する検討

摘要

本論文では，集中卷固定子を持つ平角卷線を用いた高出力密度IPMSMの卷線内部で発生する渦電流損の低減について検討を行った。基本モデルのティースは，トルクを最大化するものであつたが，卷線内部で発生する渦電流損が非常に大きく ，モータ全体の損失の半分以上を占めていた。まず，つばの長さを再度検討したModel A (t = 2 mm)では，卷線内部で発生する渦電流損を削減できたため損失密度が低減したが，効果は小さく，損失密度要求を達成できなかった。次に，つばにおける磁気飽和に着目したModel B (t = 5 mm)では，つばの先端形状を見直したが，依然として要求損失密度を達成できなかった。最終モデルであるModelC (t = 2mm)は，卷線内部で発生する渦電流損が大幅に削減でき，すべての要求を達成していることを確認した。平角卷線はモータ出力密度の向上に有効であるが，モータの損失や冷却を考える場合は，適切なティース設計が重要であることを示した。