日本音響学会講演論文集聴覚障害者の拍理解に有効な楽器音:主観評価の分析

摘要

近年，補聴器具などの技術向上に伴い，聴覚障害を抱えていても音楽鑑賞や楽器演奏などを楽しむ機会が増えてきている．太田ら[1]の報告では，ろう学校の音楽の授業での指導において使用している楽器によっては音色を伝えにくいことを示した．また，三浦[2]の報告では，複合音の周波数帯域の差がピッチ弁別に影響するが，リズム知覚は良好でこのリズム情報が音楽を聴取するうえでの手かがりとなるとしている．このように聴覚障害者の音色とピッチ弁別についての研究は行われているが楽器音の音響的特徴と拍（ビート）認識との関連についての実証的研究は極めて少ない．本研究では，聴覚障害者を対象に楽器音による拍認識の違いについて検証し、拍認識に影響を与える楽器音の特徴を明らかにする．本発表では，様々な楽器音を用いて聴取した際の主観評価の分析結果について述べる．