磁気共鳴機能画像法と脳磁図を用いた聴覚時間知覚解析

摘要

聴覚における時間知覚は，身体運動，音楽など日常の生活に密接に関与している。しかしながらその脳内メカニズムには未解明の部分が多く残されている。我々はこれまでに聴覚における時間縮小錯覚を題材とした脳磁図(MEG)測定を行い，時間知覚に関連する特定領域の活動を報告した。MEG 解析の結果，時間判断時の脳活動は右半球優位であり，特に右頭頂側頭接合部(TPJ)が刺激に対する注意と符号化，右下前頭回(IFG)が時間間隔の判断に伴い活動が高まることが示唆された。本研究では，磁気共鳴機能画像法(fMRI)を用いた計測による空間的活動分布の同定とMEG データの再解析によって更なる考察を試みた。特に先行研究では対象としなかった，記憶,リズム関連部位までを含めた統合的な考察[2][3]を実施した。fMRI による研究では，補足運動野(SMA)や背外側前頭前野(DLPFC)等にも時間判断に伴う活動が起こるかどうかの検証を試みた。上記2 領域においてはMEG データを用いてミリ秒単位の活動変化の考察も行った。