ひび割れ注入材として用いた塩分吸着型エポキシ樹脂の暴露試験による鉄筋腐食抑制効果の検証

摘要

塩害環境下にある鉄筋コンクリート構造物は，コンクリート内部へ塩化物イオンが浸透することにより鉄筋が腐食し，その腐食による膨張によってひび割れや剥落などの塩害劣化が顕在化している．塩害で劣化した鉄筋コンクリート構造物は断面修復工法などの補修が施されるが，コンクリート内部の塩分の除去が不十分である場合は，再劣化が生じることもある．塩害による再劣化は近年問題視され，その対策の一つとして，無機系材料に塩分吸着剤を添加した断面修復材や防錆材が開発されている．無機系材料のみならず，ひび割れ注入材などで多く用いられる有機系材料の塩害対策への活用が可能となれば，更なる展開が期待される．例えば，一般にひび割れ注入材は塩害対策としては選択されないが，ひび割れ注入材に塩分吸着剤を添加することで塩害対策にも適用可能となり，かつ，ひび割れ追従性も期待される．