トンレサップ湖面におけるMODIS分光反射率の長期的変動

摘要

トンレサップ湖はカンボジアの平野部の中央に位 置し，トンレサップ川によってメコン川と連結されている.乾季の面積は2,500km~2程度であるが，雨季 にはトンレサップ川を通じたメコン川からの逆流に より最大16,000 km~2程度にまで拡大する.現地の 人々にとっては漁労など生業の場であるほか，多く の水上集落が形成されるなど生活の場所ともなって おり，近年，水上集落等からの生活排水による水質 悪化が問題視されている.また，湖周辺の水田にお ける化学肥料の使用増加も水質に影響を与えている 可能性がある.しかしながら水質の継続的な観測体 制は整っておらず，現地観測データによる長期的な 水質変化の分析は現実として不可能な状況にある.そこで本研究では，2001年から2017年までの MODIS Terraの観測データを用い，トンレサップ湖 面の分光反射特性から水質の長期的変動傾向を考察 した.