生体組織の光学特性値算出において異方性因子が散乱係数に与える影響: 異方性因子の波長?吸収依存性

摘要

生体組織の光学特性値(optical property)は、組織内での光の吸収を表した吸収係数(absorption coefficient;μa)、組織内での光の散乱を表した散乱係数(scattering coefficient; μs)、光が散乱する際の散乱角θの余弦平均値として表される異方性因子(anisotropy factor; g)や屈折率(refractive index; n)などにより表現される。これらの光学特性値を用いることによって、生体組織内での光伝播の様子を数値的に理解することができ、光診断におけるシミュレーシヨンや光治療における照射パラメータの設定を定量的に行うことが可能となる。さらには光医療機器開発において、光学特性値に基づいた実験用(校正用)ファントムの開発やそれを用いた評価などを行うことにより機器に関する定量的な知見を得ることができる。したがって、正確な生体組織の光学特性値は非臨床試験のレベルで重要な情報となりえる。