(394-0279)NaCl 水溶液中におけるSM490 鋼の腐食疲労過程でみられる腐食電位応答

摘要

近年，高度経済成長期に建設された橋梁や港湾構造物などのインフラ構造物における環境劣化が懸念されている．インフラ構造物の環境劣化の一因として鋼材の腐食疲労があげられる．たとえば，大気環境に曝された鋼材表面では，降雨や結露などにより腐食反応が生じ，同時に変動負荷などの力学的作用の重畳があると，条件によっては腐食疲労き裂が発生し，それが伝播することによって，鋼材に疲労損傷を引き起こすことになる．よって，鋼材の腐食疲労過程におよぼす腐食反応の影響を解明することは，腐食疲労による環境劣化の理解において極めて重要である．我々は，これまで，橋梁等に使用される溶接構造用圧延鋼SM490YB について，NaCl 水溶液中自然浸漬下において4 点曲げ試験を行った結果，大気環境に比べ腐食疲労寿命が低下し，その低下が繰り返し変形にともなう鉄溶解反応の促進によることを報告してきた[1-3]．本研究では，腐食疲労挙動におよぼす腐食反応の影響を調査するため，繰り返し変形にともなう腐食電位変化について検討した．