宇宙重力波望遠鏡ミッションにおける編隊飛行の衛星間距離維持手法に関する研究

摘要

重力波は質量を持った天体が運動した際，時空のゆがみが周囲に伝わる現象である．この重力波を観測できれば，既存の光電波天文学では観測できない天体現象を観測できるようになる．主な観測手法は，重力波による時空のひずみの変動を干渉計によって検出する手法である．この手法では，干渉計の基線長である鏡間距離が長いほど検出感度は向上し，また鏡に加わる外乱による振動(雑音)により検出感度の上限が決定する．現在稼働している重力波望遠鏡には地上重力波望遠鏡があるが，鏡間距離は10 km程度が限度であり，感度の向上に上限がある．また，10 Hz以下の地面振動の影響を取り除くことができず鏡に加わる雑音を低減できない．そのため，地上重力波望遠鏡では，10 Hz以下の低周波数帯の重力波を観測できないことが課題となっている．