PROCYON は, 超小型衛星による小惑星フライバイ探査ミッションを目的として,はやぶさ2 のピギーバックとしての打ち上げを目指している.超小型衛星による深宇宙探査ミッションは,大型衛星とは異なる信頼性基準,コストのバランスによって成立させる必要がある.特に搭載重量や発生電力の制約条件は大きく,従来の宇宙用通信コンポーネントの設計概念を大きく変えて積極的な民生部品の活用と小型軽量化に最適な技術の導入が不可欠である.そこで,これまで宇宙研と東大超小型衛星組合で行ってきた通信技術をコンバインして小型デジタルトランスポンダ, GaN(Gallium Nitride:窒化ガリウム)を用いた高効率SSPA(Solid State Power Amplifier:固体電力増幅器),誘電体カバー付4 線ヘリカル構造の超軽量LGA(Low Gain Antenna:低利得アンテナ), 無給電素子付円形パッチアレー構造の送受共用MGA(Medium Gain Antenna:中利得アンテナ)?HGA(HighGain Antenna:高利得アンテナ),導波管構造による低損失BPF(Band Pass Filter:帯域通過フィルタ)?DIP(Diplexer:分波器),VLBI(Very Long BaselineInterferometry:超長基線電波干渉法)実験用の3 トーンスイープ機能を有するVLBI 送信機の開発を行った.革新的な超小型深宇宙搭載通信システムが完成することで,通信に起因する制約を解き放って,新たな科学衛星ミッションを創出する突破口を切り開くことが可能になる.本稿では,PROCYON 通信系構成,並びに,各コンポーネントの開発結果等を紹介する.
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