データマイニングを用いた切削条件決定支援システム－LCA を適用した定量評価

摘要

近年のCAM システムの発達により，熟練技術者でなくても比較的容易にNC プログラムを生成することが可能となったものの，加工を行う際に重要な，使用工具や切削条件の決定については未だ熟練技術者の知識や経験に頼っているのが現状である．しかし，熟練技術者の知識や経験は暗黙知である場合が多く，非熟練術者は試行錯誤を繰返して最適な使用工具と切削条件の決定を行わざるを得ない．この試行錯誤期間において，工具，電力や時間を無駄に消費してしまうため，製造コストの増加だけでなく，環境負荷の増大にもつながる．近年，ものづくりにおいても環境負荷低減技術の確立が求められていることから，適切な使用工具や切削条件を早期に決定することを支援するシステムの構築は重要と考えられる．ここで，工具カタログは工具に対する膨大な知識を集めた加工技術の宝庫であるため，良質なデータベースであるといえる．そこで，著者らは工具カタログに対して，データマイニング手法を適用した切削条件決定支援システムを提案してきた1)．本報では，これまで十分に評価できていなかった環境負荷とコストの観点から，本システムの有効性を検討する．