並列型積層圧電素子を用いた振動発電による無線加速度センサ駆動

摘要

近年，橋梁，道路，機械設備などから発生する振動と強誘電体を用いて発電するエネルギーハーヴェスティングの技術が注目されている．強誘電体の中でも発電性能が大きい圧電素子の開発が注目されている．原子力発電所や産業施設においては，コンプレッサ，ポンプや配管などの機械設備の振動が常時発生しているが，このような振動する機械設備には，加速度を検知することにより設備の異常を早期に把握することで機械設備の損傷や重大な事故を防ぐことが出来る．しかし，このような異常検知のためのモニタリングシステムは電源が遮断されると設備の状態が把握できなくなり，重大事故につながる恐れがある．このような課題に対して，機械設備の振動と圧電素子を利用した振動発電により，外部電源を必要としない加速度センサ計測システムを構築することでモニタリングシステムの自立化，多様化が可能となり，機械設備におけるメンテナンスの効率化や安全性の向上を図ることが可能である．さらにこの振動発電によりセンサ駆動に加え無線データ通信に必要な電力を供給することができれば，外部電源や信号ケーブル不要のモニタリングシステムを構築でき，産業施設全体の安全性を大幅に向上させることが可能である．