静液圧を受ける円筒殻の座屈（幾何学的非線形の影響）

摘要

屋外貯蔵タンクの津波による破損モードとしては，浮き上がり，滑動，転倒，内外水圧差による側板座屈などがある．これまで津波によるタンク側板の座屈を想定した座屈解析が行われており，また報告者は，静液圧を受ける円筒殻について，有限要素法による軸対称殻要素を用いた座屈解析，およびその結果に基づき簡易に座屈液位が求められる簡易式の提案を行ってきた．これらはすべて軸対称な静液圧を対象としたものであるが，津波による液圧分布は一般に非軸対称である．これより報告者は，荷重を周方向にフーリエ級数展開することにより，非軸対称荷重を受ける軸対称殻の座屈解析を行う方法を提案し，その方法を一般的な非軸対称静液圧を受ける円筒殻，および津波荷重を受ける500～110,000kl のモデルタンクの座屈解析に適用した．その結果，実際的な貯蔵タンクの形状に対しては，非軸対称静液圧を軸対称静液圧として取り扱うことにより十分精度良い座屈液位が求められること，また軸対称静液圧の解析結果に基づき策定した簡易式が実用上有用であることを確認した．