絶縁性窒化アルミニウムセラミックスの微細放電加工特性－加工雰囲気が放電加工特性に及ぼす影響

摘要

半導体素子の高集積度化が進むとともに，基板の放熱性が重視されてきている．窒化アルミニウム（以下AlN）は優れた熱伝導性と高い電気絶縁性をもつため，近年半導体素子用基板として，その焼結体が脚光をあびている．また，高温強度が高く，化学的耐久性も優れている．これまでのAlNに関する放電加工は，粒界に電気伝導性物質を析出させ，導電度を付与した材料を製作して対応していた．これに対し，絶縁性AlNの放電加工は，著者らが開発した補助電極法により可能であるしかしながら，加工速度は熱伝導性の良好なSiC，Al_2O_3と同程度と，かなり遅いことが報告されている．加工速度の向上を目指した，最近の著者らの絶縁性AlNの微細放電加工においては，補助電極法により加工表面に形成された導電性被膜から加工を行った場合，脱イオン水中でも加工が進展することが判明した．脱イオン水中における絶縁性セラミックスの放電加工は過去に例がないため，適正加工条件の設定は困難である．本研究では，RC放電回路により絶縁性AlNセラミックスの微細放電加工を行い，加工雰囲気が放電加工特性に及ぼす影響について明らかにした．