次世代非球面レンズ製作のための傾斜角積分型高速ナノ精度形状計測装置の開発―測定原理と測定方法

摘要

回転対称で非球面形状を従来の干渉計や三次元測定機のように基準面、タッチプローブを用いず、光の直進性を生かし被測定面の任意の点における法線ベクトルを0.1μrad以上の精度で測定し、補間、積分することによりサブナノメートルの精度で三次元形状を創出することを研究目的とする。本研究は、次世代半導体製造技術として、波長13.5nmの極紫外光 (Extreme Ultra-Violet; EUV) を用いたEUVリソグラフィー (EUVL) 技術の中で、結像光学系に対して回折限界に迫る分解能を達成する。つまり、次世代超高精度光学系として形状精度0.08nm-RMSの要請を達成可能にする。また、小型非球面レンズ（例えばNA=1、曲率半径5mm／非球面量数·m程度）形状をサブナノメータでなおかつ短時間（約3分）で計測するシステムを開発することである。コンパクトカメラに使用される曲率半径の小さい非球面レンズの形状計測精度に関して日本国内外を調査した結果、直径150mm以下の非球面レンズでは形状測定精度が50nm程度であることがわかった。測定法として、接触式CMMや干渉法を採用しているが不確定要素をどうしても取りきれていないのが現状である。これらの装置は恒温室に設置され、測定を行なうには作業者が測定準備に時間がかかり、測定にも長い時間を必要とする場合が多く、簡単に敏速に現場にフィードバックすることが困難である。調査結果の例を掲げると、アメリカQED社のサブアパーチャー·スティッチング干渉測定機は、市販のフィゾー型干渉計と測定台が6軸駆動するメカ構成（SSI-Aの場合）とデータ解析ソフトウエアにより、外形200mm、NA=1.0まで測定可能であるが、測定精度は数十分のλ（λ=0.633μm）である。PTB（ドイツ国立計測標準機関）、TRIOPTICS、University Autonoma Barcelonaなど産学共同にて実施されたプロジェクトにより開発された"AspheroMaster"はスロープ測定精度が50μradである。そこでEUVLや小型非球面レンズから要請される高精度ミラー、すなわち最大サイズΦ300mmから最小サイズΦ10mm、非球面量15μm以上に対して、形状誤差を0. 08nm-RMSの精度を現場でなおかつ高速形状計測可能なシステムを構築することは意義がある。