通年観測に基づく北陸地域の大気中ナノ粒子の考察

摘要

大気環境中のPM_(2.5)観測が定着し誰もがその値を 話題にするようになった昨今，その組成と由来が 研究対象となっている。PM_(2.5)の中でも粒子径に よって健康影響は異なっており，粒子径100nm以 下のいわゆるナノ粒子は肺胞への沈着率が高いた め，特に懸念すべき粒径範囲とされてきたが，化 学成分の分析には，ある程度高速で捕集時間を抑 え，なおかつ減圧や荷電による化学成分の変化や 損失を抑制する必要があり，かつては非常に困難 であった。Furuuchi et al. (2010)が慣性フィルタを 組み込み開発したサンプラ（後にカノマックス， ナノサンプラーとして商品化）は40L/minで大気 圧に近い減圧条件でのナノ粒子捕集を可能にした。