標準技術を活用した工作機械内衝突防止システムの開発（第3報）工作機械内衝突防止システムのプロトタイプシステムの開発

摘要

現在，機械自体が人間のような知識を身につけ，作業者の熟練した技能の代わりに，最適な加工を行える機能を持つ，工作機械のインテリジェント化が進みつつある．これにより，作業者への負荷を少なくすることができ，スキルの低い作業者でも容易に使いこなせるようになってきている．工作機械のインテリジェント化は，具体的には，主軸や構造部の熱変位の補正，軸送りの振動防止，工具の衝突防止といった機能が実現されつつある．特に，衝突防止は,ワークと工具の衝突事故などにより，主軸を故障させてしまい修理に多くの費用と時間を費やすことから注目されている．しかし，これまでの衝突防止システムは，事前に準備しておいた3D モデルを基に，シミュレーションで衝突を検知する方式であった．そのため，3D モデルと現場での段取りが異なった場合など衝突防止が困難になる．また，この方式はオープンNC などの最新型NC 装置付き工作機械に適応できるが，現在でも工場内に数多くある従来型NC 装置付き工作機械には適用できない．そこで，事前に準備しておいた3Dモデルによるシミュレーションの方式でなく，段取り後適時ワークやジグなどの形状を計測することによる工作機械内衝突防止システムの研究を行っている．また，本方式では，ORiN (Open Resource interface for the Network)などの標準技術を活用し，最新型NC装置だけでなく，従来型NC装置にも適用可能である．本研究では，これまでに，工作機械内衝突防止の課題，工作機械内衝突防止システムのコンセプトを検討した．本報では，本工作機械内衝突防止システムのプロトタイプシステムを開発したので報告する．