空間高調波を活用したトランスバースバイパス磁束制御形可変界磁 PM モータの基礎検討

摘要

近年，欧州を中心に 48V マイルド HEV システムの技術開発が盛hに行われている。48V システムは高電圧のフルHEV システムに比べ燃費改善効果が劣るが，一方で車両重量が軽い B セグメント以下のコンパクトカーにとっては小型軽量で安価な HEV システムとなり，コストメリットと燃費改善効果を得やすい。このようなシステムは低電圧駆動のため，界磁制御可能なクローポール形モータとインバータを組み合わせた ISG システムが主流となっている。しかし，クローポール形モータの場合，スリップリングを用いた他励式のため，大出力化に伴い従来よりも界磁電流を増やす必要に対してブラシの摩耗や耐久性が問題となる。さらに鉄塊のロータ構造のため，鉄損増加により高効率化が困難である。それらの問題に鑑みて近年可変界磁モータが盛hに検討されている。代表的な研究として磁石磁力を可変にするメモリモータやロータスキュー角を調整するモータが提案されている。しかし，前者は磁石を着減磁するためにパルス電流を電機子電流に重畳しなければならず，モータ出力よりもインバータ容量が増大する問題があり，後者はスキュー角を機械的に調整する外部アクチュエータが必要になる。