放射線科医師の疲労と眼科医師の作業負担

摘要

近年の高度情報化社会においては、職場における機械化や自動化により、肉体的な労働の負荷は軽減した。しかし、職場では様々なストレス因子により、うつ病などのストレス関連疾患が急増し、ストレス関連疾患では、精神疲労を伴っていることが多い。精神疲労が蓄積し回復が遷延化すると、一定の期間を経てストレス関連疾患が顕在化し、労働の意欲が減退する上に回復に時間を要する。また、精神疲労を伴った自動車運転者の集中力の低下や眠気による交通事故、医療の分野では小児科医·産婦人科医·救急医療に携わる医師の精神疲労を伴った過労も指摘されている。また、作業負担からの精神疲労も問題となっている。よって、健康管理や労務管理上、作業場の安全や事故防止の観点からも精神疲労の予防と作業負担の軽減は重要な課題である。しかし、これまで精神疲労や作業負担の検討は、主に質問調査票および問診票などによって主観的疲労や作業負担が把握されている。そこで、放射線科医師の疲労と眼科医師の作業負担について、医学と工学による共同研究を行うことにより、新たな提案を行える可能性が見られた。そこで、それぞれの研究メンバーと共同研究の内容を紹介し、今後の課題について検討したい。