旋回時の駆動力配分制御と消費エネルギーに関する研究（第2報）定常円旋回から準定常円旋回への拡張

摘要

これまでに操縦安定性を向上させることを目的に，限界域から常用域に至るまで数多くのダイレクトヨーモーメント制御（DYC）が開発されてきた．それと同時に，その制御を実現するための機構についても革新が見られ，ブレーキや差動機構を活用した方法(5)から，各輪にモータを搭載して効率的に駆動力を配分することが可能なインホイールモータ機構まで提案されている．さらに，近年では旋回中の燃費を向上させることをねらいとして，効率的に旋回するための駆動力配分制御に関する研究が行われている．今後もエネルギー消費低減のための技術開発の進展が予想される中，既報では，どのような駆動機構であっても共通して発生する旋回抵抗の定式化を推し進め，実車検証とともにタイヤ接地面における駆動エネルギーの散逸メカニズムを見出してきた．そこでは，旋回抵抗の基本的な性質を理解するために，定式化の対象を定常円旋回と限定した．しかし，実際には加減速を伴いながら旋回する状況が多いため，そのときの特性の変化を捉えて最適に駆動力を配分するDYC が望ましい．