インドネシアにおける水稲の水害損害評価のための作付日推定

摘要

世界第3 位の米生産国であるインドネシアでは、洪水や干ばつ、病虫害等の被害にあった水稲生産者を救済するための農業保険制度が運用されている。この保険制度の損害評価のための現地調査には多くの労力・時間を要するため、リモートセンシング技術を用いた損害評価の効率化が求められている。水害の損害評価では、移植から30 日目程度の生育ステージの水稲については被害評価の対象外となる。このことから、水害の損害評価において評価対象圃場を特定することは重要な工程であり、そのためには作付日を把握する必要がある。水稲の作付日は可視・近赤外光の衛星画像から算出される正規化植生指数（NDVI）の時系列データを使って推定できることが知られているが、赤道に近い対象地域は雲に覆われることが多く、そのような条件でも地表面を観測できるマイクロ波の衛星画像を利用することが望ましい。そこで、本研究ではSentinel-1 衛星に搭載された合成開口レーダー（synthetic apertureradar: SAR）によって測定されたC バンド、VH 偏波の後方散乱係数（backscattering coefficient: BSC）を使って水稲の作付日を推定する方法を構築し、その精度検証を行うことを目的とした。