中国東北部におけるバイオマス燃焼由来のPM_(2.5) 広域輸送を対象とした大気質モデル解析：2019 年3 月の北海道における高濃度事例

摘要

2019 年3 月、北海道にてPM_(2.5) 高濃度汚染事例が発生した。これは中国東北部（遼寧省、吉林省、黒竜江省）で発生したバイオマス燃焼（Biomass Burning, 以下BB と記載）による生成物が北海道へ移流して発生した可能性が高いことが指摘されている。中国東北部は代表的な穀物地帯であり、農作物収穫後の残渣焼却に伴って大規模なBB が発生する地域である。客観解析値NCEP FNL を確認したところ、2019 年は例年に比べて積雪量が少なく、BB が発生しやすい状況にあったと考えられる。本研究では、2019 年2 月～3 月の東アジア域を対象に大気質モデルを用いてシミュレーションを行い、中国東北部およびその周辺で発生したBB 由来の中国国内のPM_(2.5) 濃度、北海道地方のPM_(2.5) 濃度の予測を行った。