位相変調信号との強度相関による実時間レーザ変位測定―位相符号情報を用いた測定レンジ拡大

摘要

測定対象から反射したプローブ光信号と基準信号との位相差から対象までの距離やその変位を測定するレーザ測距法は、製造現場での製品検査から移動物体の計測まで、様々な場面で利用される。これらの測距法では、より広いレンジにわたり高分解能、高精度、高速な測定が求められる。我々はできるだけ簡素な構成でこれらの要求を満たせるよう、受信部に光変調器を使用して位相変調信号との強度相関をとり、実時間でレーザ変位測定を行う手法を検討してきた。前回の研究では、サンプリング間隔1 msで速度 < 5 m/sの対象の変位測定がレンジ20 mm以内で可能なことを示した[1]。一方、本手法では測定レンジと測定誤差の間にはトレードオフの関係がある。今回、受信信号の位相符号を利用することで測定精度を維持したままレンジを拡大する手法を考案し、原理確認実験に成功したので報告する。