招待講演並列トラック記録方式の記録再生特性

摘要

近年、ファイルの大容量化や4K/8K等高細精度映像情報の普及に伴いストレージ機器にはその記録再 生に高速のデータ転送レートが要求されるようになってきた。HDDのデータ転送レートは線密度の向上により改善 されるものであるが、トラック密度に比べて必ずしも線密度の増加は十分でない。ここでは、2つの隣接するトラ ックを並列化して同時に再生するによる転送レートの向上を検討した。この際に2トラック間の位相が半ビットず れて記録されればビット当たり2回のオーバーサンプリングによってそれぞれのトラックからの信号を分離して読 み出すことが可能である。これに基づく PRML方式についてシミュレーションによりエラーレートを計算してその 転送レートの向上効果を調べた。また、本方式は2つの重なったトラックの信号から分離して読み出せるので2層 積層記録媒体の再生にも有効であると考えられる。その際に記録層と再生素子の距離が各層で異なるために分解能 が変わることが問題になる。これに対して最下層に上層と同じ記録を持つ補助層を設けて記録層を3層構造にする ことで2層記録層の分解能をバランスさせて2層データ復号の可能性を確認した。