2015年関東・東北豪雨における 鬼怒川氾濫による常総市の洪水氾濫状況

摘要

2015年9月9日に発生した「平成27年9月関東・東北豪雨」では，9/9 10時過ぎに愛知県知多半島に上陸した台風18号および台風から変わった低気圧の影響により，関東北部から東北にかけて記録的な大雨となった．特に，鬼怒川では流域上流部を中心に猛烈な降雨が発生，河川が著しく増水し，一部では計画高水位を超過するなどした結果，若宮戸地区（25.35k及び24.57k）では広範囲の溢水，三坂町地区（21.0k左岸）では堤防決壊が生じたことが要因となり，鬼怒川と小貝川に挟まれた平地部の約40km2にわたって大規模浸水被害が生じた1)．今回の被災状況に関して特徴的なことの一つは，溢水・決壊地点近傍のみならず，10km近く離れた常総市水海道地区においても顕著な氾濫被害がもたらされたことである．これにより水海道地区を含む多数の住民が逃げ遅れ，茨城県全体では1,339名がヘリコプターにより救助される状況となった2)．