HRIにおける段階的行動決定機構を備えた分人モデルの構築

摘要

近年，ヒューマン-ロボットインタラクション(HRI)の分野では，ロボットを社会的存在として扱う研究が盛hにおこなわれている.HRIに関係の深い研究事例として，ロボットに人間のような心理を持たせることで社会的関係の構築を図る研究がある.小嶋は，社会的インタラクションを通してコミュニケーション能力を獲得していく発達モデルに関する研究をおこなっている.また，人間社会における役割をロボットに演じさせることで社会的関係を構築する研究がある.柴田は，アザラシ型ロボットを開発し，ユーザがロボットに触れたり撫でるといった身体的なインタラクションを通して楽しみや心理的な安静を得ることを報告している.また，納谷らも同様に，人間-ロボット間の触覚インタラクションに関する研究をおこなっている.しかし，これらの先行研究は，多様な局面で，人間とのインタラクションやコミュニケーションを実現するために求められる高度な社会性，自律性，適応性の獲得には至っていない.