位相安定化を実現する制御器設計法の提案-HDDベンチマーク問題への適用

摘要

本稿では，周波数応答を用いて試行錯誤なく位相安定化を実現する制御器設計法を提案した。従来手法は，望みの開ループ特性L_dを設定することで，所望の制御性能を満たす制御器設計が可能である。しかし，L_dの設定により，制御性能の劣化を招く恐れがある。また，HDDに一般的に用いられいる制御器は精密なモデルの構築や制御器設計に試行錯誤を伴う。それに対し，本手法では周波数応答を用いることで設計者の労力を低減し，かつ所望の制御性能を得ることが可能である。一方，本手法では，与える位相，ゲイン余裕によって円条件が異なり，性能が変動する問題がある。また，感度関数の無限大ノルムについて未考慮であるため，これらを改善することを考える必要がある。