異なる巻線起因特性をもつ独立二重三相巻線永久磁石同期モータの変換行列を用いた電流制御

摘要

近年，耐故障性，二重安全性，駆動性能向上などを目的とし，固定子に独立に二重三相巻線を配した独立二重三相巻線永久磁石同期モータ（独立二重巻線PMSM）の研究，開発が進められている(1)-(6)。本モータの電流制御は従前の永久磁石同期モータ（単一巻線PMSM）と比較し，困難であることが知られている(2)(3)。一例として，独立二重巻線PMSM の第1，第2 系統（各々の巻線とインバータからなる系統）に独立の電流制御器を適用した場合には，磁気的結合に起因した系統間干渉の影響により，電流の振動や発散が起こり得る(2)(3)。本問題を解決する制御法として現在提案されている手法は，大きくは次の2 つに分類される。第1は系統間非干渉器により系統間干渉の影響を排除し，安定化を図る手法であり(2)(6)，第2 は直交行列を用いた等価変換に基づき制御を行う手法である(4)(5)。独立二重巻線PMSMは，磁気的結合に起因し，スローモードとファストモードを有する(3)-(6)。等価変換を用いた後者の手法によれば，この両モードを考慮した制御が可能である。