フルカラー照明実験室における照度および色度の制御方法の提案

摘要

近年，室内における照明による光環境が人体に与える影響についての研究が広く行われている. これまでの光色の心理的影響では，快適性，室内雰囲気，作業行為，疲労感，食欲[1] などの研究が行われている．様々な光色に照らされた食品に対する食欲の研究では，照度および色度を同時に制御できる実験室があることで，より多彩な実験データの取得が可能であると述べているが，照度および色度を同時に制御できる実験室が少ないことが課題として挙げられている．また，照度および色度を同時に制御する実験設備が整った場合であっても，任意の照度および色度環境を実現する時間を要すると，任意の照度および色度が人に与える生理的・心理的影響を調査する実験を効率的に行うことができないので，任意の照度および色度環境を高速に実現する照明制御手法が必要となる．本研究では，R(赤)G(緑)B(青)Y(黄) 各色を1001 段階のデジタル信号値で調光可能な照明(以後，フルカラーLED 照明) を29 灯設置することで照度および色度を同時に制御できる実験室を構築し，任意の照度および色度を高速に実現する手法を提案する．提案手法を用いることにより，任意の照度および色度が人に与える生理的・心理的影響を調査する実験の効率化を図る．