2N09 SLATS搭載原子状酸素フルエンス計測装置(AOFS)の軌道上運用解析結果

摘要

地球低軌道(Low Earth Orbit:LEO)に存在する中性大気，特に原子状酸素(Atomic Oxygen:AO)による衛星構体材料への影響が知られている 1)．これは， LEOに大気主成分として存在するAOが衛星と衝突する際に，熱制御材やケーブル被覆などに多用される高分子材料などと反応し，材料表面を劣化，浸食する現象が原因である．過去にはスペースシャトルや国際スペースステーション (ISS) などを利用した実験などにおいてAO量が測定された例があるが 2)3)，超低高度衛星技術試験機(Super Low Altitude Test Satellite : SLATS)4)が目指す高度271.5km以下の超低高度において，長期間継続して AO 量が測定された例はない．そこでSLATSのように超低高度を飛行する衛星へのAOによる影響を調べるために，軌道上AO密度を直接測定する「原子状酸素フルエンスセンサ(AOFS: Atomic Oxygen Fluence Sensor)」及び「材料劣化モニタ(MDM: Material Degradation Monitor)」を開発 5)，SLATSに搭載した．SLATSは2017年12月23 日に打ち上げられ，AOFS もデータ取得を継続している．AOFSの構成機器詳細及び初期評価結果については報告済み 6)であり，本発表では，超低高度における軌道上取得データの評価結果について報告する．