高分子太陽電池と鉛系ペロブスカイト太陽電池における開放電圧の損失機構

摘要

高分子太陽電池と鉛系ペロブスカイト太陽電池は、印刷技術による安価かつ大量生産が可能であるため、次世代のエネルギー源として注目を集めている。両素子のエネルギー変換効率（PCE）は、過去数年間において急激に向上し、現状それぞれ15%と24%を超える例が報告されている。しかしながら、太陽電池の理論限界効率の指標であるShockley–Queisserモデルによると両素子ともに依然として開放電圧（VOC）向上の余地がある。そこで本研究では、様々な高分子太陽電池と鉛系ペロブスカイト太陽電池を用いて活性層の光学的バンドギャップ（Eg）を求め、両素子の光エネルギー損失（Eloss=Eg−qVOC）を定量的に評価し、その損失の差を電荷の生成機構ならびに電荷再結合機構の視点から議論した。