大船渡市と陸前高田市の防災集団移転促進事業の移転宅地整備と事業費の比較検証: 東日本大震災の復興まちづくりの検証(2)

摘要

本稿は、防集事業の移転宅地整備タイプを通り抜け道路新設型・行き止まり道路新設型・既存道路活用型の３タイプに分け、大船渡市では既存道路活用型が最も多く、18 戸以上でもこのタイプが見られた一方、陸前高田市では既存道路活用型328 地区中2 地区にとどまり、事業費/戸が高い行き止まり道路整備新設型が12 地区あったことを明らかにした。両市の事業費/戸をタイプ別に比較し、既存道路活用型以外はいずれも大船渡市は陸前高田市を下回り、大船渡市の全体平均は陸前高田市の62％にとどまっていたことを明らかにした。このことは、大船渡市は「差込型」に代表されるように既存道路を活用するだけでなく、アクセス道路の新設整備にあたっても、事業費/戸が低くなるように、移転宅地整備地区を選択して防集事業を進めてきたことを示している。