海外のキャンパス建築における内部コモンスペースの構成キャンパス建築のコモンスペースに関する研究（1）

摘要

中世ヨーロッパに起源をもつ大学は、もともと固有の施設を持たず、教会の一角や広場などを街の人々と共有しながらその活動を展開していた。キャンパスという形が形成された現在でも、都市との敷地境界近辺には人々に共有されるｺﾓﾝｽﾍﾟｰｽをもつ建物が整備され、ｺﾓﾝｽﾍﾟｰｽの建物内部での連続や外部への表出により、キャンパスと都市が連続する空間を形成してている。こうした大学キャンパスの建物では、ｺﾓﾝｽﾍﾟｰｽの連続と公開性に基づく特有のビルディングタイプが形成されていると考えられる。そこで本研究では海外のキャンパス建築を対象に、敷地境界近辺に建つキャンパス建築とそれに連続するキャンパス及び都市のｺﾓﾝｽﾍﾟｰｽを一体的に捉え、建物がもつ複合的な用途を合わせて検討することで、建物内外で連続するｺﾓﾝｽﾍﾟｰｽが形成する大学キャンパスの公開性について明らかにすることを目的とする。本編では、海外のキャンパス建築の用途と、ｺﾓﾝｽﾍﾟｰｽを中心とした建物内部の構成を検討し、次編では、建物内外で連続するｺﾓﾝｽﾍﾟｰｽの構成を検討する。