海龍王寺五重小塔の設計計画分析の前提海龍王寺五重小塔の設計計画分析（１）

摘要

古代の木造塔の設計計画は、未だに明らかにされていないことが多い。その理由の一つに遺構数の少なさがあり、奈良時代の塔の遺構としては、薬師寺東塔、海龍王寺五重小塔、元興寺五重小塔、當麻寺東塔がある。海龍王寺五小塔は内部構造が省略されていることからその設計計画を一般木造塔として適応することは難しいと考えれられる。しかし天平時代の五重塔は一基も存在せず、よってこれを研究をすることは極めて重要で、日本建築史における塔の設計計画の研究を前進させる可能性がある。本研究は今後、海龍王寺五重小塔の研究をするにあたっての足掛かりとして、国宝・重要文化財( 建造物) 実測図集・既往研究の問題点を挙げ考察し、今後の研究に繋げることを目的とする。