個別道路区間の自転車通勤者数予測に基づく自転車道路網整備計画手法その２: 自転車道路整備計画案の作成と評価

摘要

本稿では、個別道路の自転車需要予測をもとにその工事費用を具体的に検討する計画手法を示し、千代田区と渋谷区を事例にその有用性を示した。整備効果においては経路全体の工事よりも区間ごとの工事の方が費用対効果が高いことが分かり、区間ごとに行なわれる工事の方が工期全体が長くなるものの、通行止めや騒音などの環境問題に考慮することが示された。今回は経路ごとと区間ごとに分けて検証したが実際は道路によって適切な整備方法があるため場合に応じたハイブリット型の整備方法が適切であると思われる。　また、道路整備の方法を一様に普通自転車用通行帯と仮定して検証を行ったが、現実にはより大掛かりな工事が必要であったり道幅が狭く整備できない区間も存在する。また、工事区間の決定においては、管理主体の異なる道路種別の違いも考慮する必要がある。そのため詳細な道路状況や必要な工事費用などをデータベース化し、これを参照して現実的で精度の高い道路整備計画の評価を可能にすることが今後の課題である。