奈良県月ヶ瀬地区の旧弥栄共同製茶工場と標準仕様との関係について

摘要

工学院大学後藤研究室は、これまで製茶関連施設の調査に数多く関わってきた。その関係で、月ヶ瀬風景づくり研究会（代表・京都大学増井正哉教授）と共同で、平成28-29 年度と奈良県奈良市月ヶ瀬地区の弥栄共同製茶工場［図1］（以下、弥栄共同という。）を調査する機会を得た。茶工場には、拙稿1)で紹介したように農林省茶業試験場による経済的単位工場という標準仕様が昭和5 年11月に示されており、これ以降のものは基本的にこの標準仕様に則って建てられている。弥栄共同は、『製茶法質疑応答』（昭和15 年）によると竣工は昭和15 年とされている。本稿では、標準仕様との関係を検討し、その相違点から一定の特徴を見出そうとするものである。