八分木－ポリヘドラルハイブリッド格子を用いたLES による高層建築物の風荷重評価

摘要

建築物の風荷重評価にLES を活用するための検討が進められている1)．建築物の風荷重をLES で評価する際には，対象建物のファサードや周辺街区の形状など様々なスケールの構造物の形状を適切に再現する必要があり，形状の再現が容易であることから，一般的に四面体格子が用いられることが多い2)．また，風荷重を適切に評価するには，壁面近傍に形成される境界層を適切に再現する必要があり，壁面には一般的に境界層格子が用いられる．しかしながら，四面体格子では境界層格子との接合部においてメッシュの品質を確保することが難しく，格子の生成時に適切な品質の確保のため多大な労力が必要となる．一方，八分木格子は格子作成のアルゴリズムが単純であり，格子の作成が容易であるとともに格子の品質を確保しやすい利点がある．ただし，建物形状の再現性が低いことが課題である．そこで本研究では，八分木格子を基本としつつ，壁面近傍など一部にポリヘドラル格子3)を用いる八分木－ポリヘドラルハイブリッド格子を利用し，格子の作成効率と形状再現性の両立を試みる．また，LES により高層建築物の風荷重評価を行い，計算結果と実験結果を比較することにより，精度検証を行う．