戦時下京城市内における小公園造成について−南大門前公園造成計画を事例に

摘要

京城府（現・ソウル市）に法定都市計画公園が整いはじめたのは、1936 年に公布・施行された京城市街地計画にもとづいて計画された公園用地の指定以降とされる。1930 年代後半のこの時期は、日中戦争や張鼓峰事件・ノモンハン事件を機に戦時体制が強化されていく時期でもあった。終戦後、しばらく連合軍軍政下に入ったソウルが朝鮮戦争を経て、新しい都市計画法制定による都市整備をはじめるのは1962 年のことである。京城市街地計画は、ソウル都市計画（1965 年）の際に公園計画を含む都市諸般施設計画に根幹を提供したところも多く残される。本稿は、戦時体制下で進められていた都市施設としての公園施設がどのように指定・計画され、変貌していったのかを検討する一環として、南大門前公園造成計画を取り上げて検証を行う。