秋期•冬期における実測調査の基礎集計戸建住宅の室内温熱環境が夜間頻尿症状に及ぼす影響検証（その1)

摘要

夜間頻尿とは、就寝中に排尿のために1回以上起きなければならない症状のことであり、実際に生活上に問題が生じ、治療が必要とされるのは2回以上と言われている。主な原因は多尿や夜間多尿、過活動膀胱等が挙げられる。図1に年代別の夜間頻尿症状保有率を示す。夜間頻尿症状の保有率や重篤度は、男女ともに加齢に伴って増加し、70代以上の高齢者の夜間頻尿症状保有率は8割を超える。また、夜間頻尿は排尿症状の中で最も生活の質(QOL)を低下させる症状とされている。中川らの研究では、夜間尿回数が2回以上の高齢者は、1回以下の高齢者に比べ、転倒による骨折のリスクが2.2倍、及び死亡リスクが1.93倍になることが示されている。このことから、夜間頻尿は、睡眠質の低下による不眠症や睡眠障害、夜間トイレに行く際に転倒してしまうことによる骨折やケガ等、様々な要因を介してQOLの低下だけでなく生存率の低下にもつながることが示唆されている。高齢化が進む本国においては、夜間頻尿は無視できない社会問題となっている。