Net Escape Velocity概念による化学反応及び乱流拡散を伴う汚染物質濃度場形成の構造理解(その2) IEA Annex20の三次元流れ場を対象とした解析

摘要

室内の汚染空気と屋外の新鮮空気を置換する，もしくは発生汚染物質を希釈するために換気が計画されるが，その本質は不完全混合場の構造的かつ定量的な理解にある.換気によって形成される室内汚染物質の不均一分布を定量的に議論する目的で，これまでに各種の換気効率指標が研究されいる.例えば，古くは1969年のMichaelらによる「Exit Air Distribution」の研究，1983年のSandberg and Sjobergによる「Age of Air」の研究などがあり，1987年にはDavidson and Olssonが計算流体力学CFDによるAge of Air分布とLocal Purging Flow Rate (L-PFR)分布の解析事例を報告している.その後，計算機能力の飛躍的な向上と商用流体解析ソフトの汎化に伴い，CFD解析を前提とした換気効率指標の提案とその解析例が多く報告されるようになった.筆者らはSandbergと共同で数値解析をベースとした換気効率の研究に取り組hでおり，特に近年ではL-PFRの極限値としてCFD解析のコントロール•ボリュームCVを対象とした汚染物質排出の速度スケールを示すNet Escape Velocity (NEV)の概念を提案し，その数値解析手法，解析事例などを報告してきた.