土木計画学における地球温暖化対策研究の方向に関する一考察

摘要

本稿の目的は，土木計画学における地球温暖化対策研究について問題を提起し，今後の方向についての試行的な議論に資することである．近年頻発する激甚な気象災害は，地球温暖化や気候変動との関連が認識されているものの，土木計画分野における災害対策の文脈での地球温暖化対策研究はごくわずかである．気象災害の発生は確率的であり，温室効果ガス（GHG）の排出量・濃度と気候変動影響の関係は未だ不確実性がある．さらに，気候変動影響は長期にわたるが，世代間の公平性や影響の割引率についても，未だ議論に決着はついていない．加えて，個別の都市や日本の緩和策が大気中のGHG 濃度に与える影響は極めて限定的である．